TANOKYU

9月の素材 タルト生地

 ケーキ屋さんやレストランのショーケースの中でひときわ目を引くのは、フルーツがたくさん乗ったりチョコレートがふんだんにつかわれいる大きなタルトです。自分でもあんなケーキがつくれたらいいなと思いながらも、とてもむずかしそうでついつい食べる方にまわってしまっているかたが多いようですが、いちど思いきって挑戦してみると意外と簡単にできてしまって拍子抜けしそうなくらいです。

 一口にタルト生地といいますが、それはおもに三つの種類に分かれます。普通一般にパイ生地と呼ばれる折りパイ、クッキーやサブレのような甘い生地、さくっとした食感の練りパイの三種類です。その中でもいちばん簡単で、ケーキにも料理にも使えて便利なのが三番目の練りパイです。生地を練るときの砂糖と塩の分量を調節することで、さまざまにバリエーションゆたかなケーキや料理ができあがります。もちろんケーキがまっ先に思い浮かぶでしょうが、まずは手軽なお惣菜からはじめましょう。

 お惣菜のタルトの代表がキッシュです。フランス版おふくろの味、日本で言えばさしずめ我が家風お好み焼きといったところでしょうか。中身はありあわせ、冷蔵庫の在庫整理にもなります。練りパイの生地も家庭にあるものばかりですから、思い付いたらすぐにはじめましょう。薄力粉とバター、卵と塩、砂糖があれば後はなんにもいりません。生地を冷蔵庫で少しねかせている間に、中に入れる具を用意します。たとえば秋ですからきのこを使ってみましょう。玉葱とハムと一緒にきのこをバターで炒め、タルト型に入れて空焼きした生地に詰め、卵と生クリームを合わせ上から流し込み、小さく切った溶けるチーズを散らしオーブンで約三十分焼いたら出来上がり。午後のティータイムにも、ワインと一緒に夕食の前菜にもうってつけです。


8月の素材 ビール

 暑い夏の夜の至福と言ったら、風呂上がりのビールに勝るものはないでしょう。その美味しいビールをもっと美味しくするために、夕方から水分を採らないようにして帰宅後のビールに備えている豪の者もいらっしゃるとか。テレビCMなどでよく見られるように、豪快に飲み干すイメージが定着しているビールですので、料理に使うと聞くと意外に思われるかもしれませんが、ビールの本場のヨーロッパではワイン同様古くから家庭料理に使われてきました。特に今回ご紹介する「牛肉のビール煮込み」はもっともポピュラーな料理のひとつです。

 材料の牛肉は塊のほうができあがった時にボリュームがありますし、肉の旨味が封じ込まれてより好ましいのですが、煮込む時間が大変ですのでご家庭では薄切りのものを用意してください。タマネギを半割にして繊維に沿って5ミリ位の厚さに切ります。厚手の鍋にバターを溶かし、少し色がつくまで炒め濃度をつけるため小麦粉を少し振り入れます。トマトピューレ、ビール、固形ブイヨンを加えてから少し煮てソースを作ります。牛肉は食べやすい大きさに切り、塩・コショウをし強火のフライパンで色付くように炒めソースの鍋に入れます。フライパンに肉の旨味が残っていますので、油を捨て水を注いだら木べらなどで旨味をこそげ落として、ソースに加えます。少し煮込んでからビールの苦味が強いようでしたら、砂糖を少々足してもいいでしょう。仕上げに塩・コショウで味を整えたらできあがりです。

 私どもが普段お客さまに召し上がっていただいているものとは、材料や手間のかけかたなどが幾分異なりますが、家庭料理でしたら充分満足いただける料理です。煮込み料理は冬のものというイメージがありますが、ビールを使うことによりあっさりした仕上がりになり、ホップの香りで食欲もわいてきます。夏はなるべく火のそばに長時間いたくはないものです、簡単で美味しくスタミナもつくとあれば、ご家族のみなさんも大喜びのはずです。


7月の素材 レタス

 「暑い!」という言葉しかうかんでこない毎日がつづいています。去年に続いて今年も暑い夏になりそうです。当店でもランチタイムの売れ筋に変化があらわれて来ています。ポークソテーやハンバーグといった肉料理よりも、のど越しのよいパスタやスパイスの利いたカレーに主流が移って来ています。熱帯夜の連続で寝不足になったり、冷たい飲み物の摂り過ぎで体調不良になり食欲が低下しがちだからでしょう。でも、そのような食事だけですと栄養が偏り、さらに体調不良に拍車がかかって悪循環になってしまいます。すこしだけ工夫をして栄養補給と、体力向上の一挙両得をねらいましょう。今月は"レタスと豚肉のエスニック炒め"です。

 レタスはサラダには欠かせない野菜として、生で食べるのが一般的ですが、今回は炒めて温野菜として召し上がってください。レタスを炒める場合には、緑色の多い部分より内側の白いところの方が向いています。緑色の部分はサラダに使えば無駄が省けます。レタスは食べやすい大きさに手でちぎり、冷たい水に放ちしゃきっとさせておきます。ブロッコリは固茹でして小房に分けます。薄切りの豚肉は醤油、バルサミコ、ガラムマサラ、片栗粉を合わせたタレをもみ込んでおきます。これで準備完了ですから、ほかの料理があるときは一番最後に調理しましょう。

 テフロン加工のフライパンにオリーブオイルとみじん切りのニンニク、鷹のツメを少々加え火にかけます。香りがたってきたら水気を切ったレタスをさっと炒め、火がかるく通ったところでブロッコリを入れ、ナンプラーで味を調え皿に移します。フライパンをさっと洗い、サラダオイルで豚肉を焼き野菜の上に盛り付け肉汁を廻しかけ出来上がりです。火を通した野菜はたくさん食べられますし、エスニックな香辛料が食欲をそそります。レタスのパリパリとした歯ごたえが、ご飯にもお酒のおともにもお勧めの一品です。


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