|
カキの美味しい季節になりました。朝晩の冷気がほほを刺すようになると、熱燗とカキの料理が恋しくなってきます。和食では、酢カキ・茶わん蒸し・鍋などが一般的な食べ方ですが、洋食ではフライやグラタン・スープなどの他に生で食べる事の方が多いようです。 魚介類を刺身などで、生のまま食べる日本人に奇異の目を向ける欧米人でも、カキだけは例外のようです。ノルマンデー産が入荷したパリのカフェやレストランでも、ボストンに水揚げされたばかりの極上品が入った、ニューヨークのオイスターバーでも、彼等の一番のお気に入りは殻付きの生カキです。レモンをかけたり、トマトソースやチリソースなどで殻で山ができるほど沢山食べます。日本人の我々には信じられませんが、彼等の注文はなんとダース単位です。 そんな生カキの日本人らしい、もう少し繊細な食べ方をご紹介します。とても簡単なのですが、唯一の難問があのごつごつした殻です。最初の頃は岩のように口を堅く閉ざしたカキを見て、とても自分の手にはおえないと思ってしまいますが、幾つか開けるとコツが分かってくるのです。しかし自分で開ける自信のない方は、魚屋さんで開けてもらってください。でも、その場合なるべく早く召し上がってください、どんどん鮮度が落ちてゆきます。 殻を開いたら、かるく水あらいをして殻の破片などを流します。レモン汁を振り掛け、玉葱・パセリのみじん切り、あさつきの小口切りをオリーブオイルであえたソースを載せて出来上がりです、よく冷えた辛口の白ワインと絶妙のコンビネーションです。 チーズは日本の食材に当てはめると、味噌のような物だとよく言われます。見た目はかなり違いがありますが、発酵食品であり、保存性があるなど多くの共通点を持ちます。しかし、なんと言っても地域ごとに多様な種類が、それぞれの長い歴史と特色をもって造られている事こそ、最も似通った点ではないでしょうか。 最近では、様々なナチュラルチーズが輸入されるようになりましたし、国内でも色々な試みがなされ、最近では本場に勝るとも劣らない品質の高いものが造られるようになっています。そのせいか、デパートの乳製品売り場などでは、ナチュラルチーズの専門コーナーを設けている店が多くあります。その中で名前を知っているものから、少量ずつ試してみて、自分好みのチーズを探し出すのも楽しいかもしれません。 当店では、季節やメニューの構成によって替わりますが、平均5〜6種類は常に使用しています。代表的なものは、チーズケーキやソースにクリームチーズ、グラタンやキッシュにはグリエール、ピザやサラダにはモッツアレラという具合です。そして、どれもひとつの料理ではなく様々に使用範囲が広がってゆきます。そうした点も味噌と相通じるところかもしれません。いずれにしても、美味しいから永年人々に愛されてきたのです。家庭料理のバリエーションにチーズは欠かせない素材です。 秋はおいしい食材の宝庫ですから、何を取り上げてよいか迷ってしまいますが、ここではりんごにスポットを当ててみます。 日本では果物はそのままの状態でデザートや、おやつ等で食べることが一般的ですが、海外とくに欧米では生食以外に料理の素材として用いられるケースが数多く見られます。顕著な例では葡萄でしょう。葡萄はワインの原料は当然ですが、肉と一緒に煮込んだり、ケーキの材料としてや、干した物はレーズンとして様々な料理に使われているのは御存じのとおりです。 りんごもその例にもれません。アップルパイや焼きりんご等のデザートは勿論の事メインディッシュにも堂々と登場します。特に豚肉との相性が良く、その酸味と香りで豚肉料理には欠かせない素材と言えます。当店では、この秋のメニューの中にりんごの料理が2点顔を出しています。りんごと若鶏のスープとりんごのタルトです。 ここではりんごと若鶏のスープをご紹介しましょう。スープにりんごと聞くと意外に思われる方も一度口にされると、成る程と納得されます。材料はりんごのほかには若鶏の胸肉、玉ねぎ、トマト、パセリ、鶏ガラで採ったブイヨン等です。バターで玉ねぎ、りんご、前もってボイルしておいた鶏胸肉の順にいためます。火が通ったらブイヨンを注ぎ仕上がる直前にトマトを加え、盛り付けてからパセリをちらします。ちょうど山の紅葉を思わせる一皿です。味と共にりんごの香りや素材の色彩も一緒にお楽しみください。 |