6月のBGM バリー・マン「SOUL&INSPIRATION」
バリー・マンをご存知でしょうか。即座に「もちろん」と応えられる方は、相当にポップスミュージックに詳しい方に違いありません。無論、音楽界の知識に乏しい私が知っているはずがありません。先日、休憩時間にラジオを聴いていたところ、評論家の萩原健太氏が紹介していたのがこのアルバムでした。
氏の解説によると、60年代よりソングライターとして数々の大ヒット曲を送りだし続けてきたバリー・マンが、20年ぶりにアルバムをリリースした、とのことでした。解説とともにアルバムに収められているナンバーが数曲かかりましたが、どの曲も聴き覚えのあるだけではなく、深く心の中に刻み込まれた名曲ばかりでした。さっそく入手し、店内でながしましたがスタッフのあいだでも大変好評をはくし、ランチタイムは暫くの間連日このアルバムがくり返しかかりました。
クレジットによりますと、バリー・マンは1939年にニューヨークに生まれていますから、今年61歳になります。高校時代の1年後輩にキャロル・キングがいて、彼女とは音楽仲間として現在まで交流があり、このアルバムの1曲めでは二人のデュエットが聴けます。そして特筆すべきは、全曲が夫人であるシンシア・ワイルの作詞であることでしょう。B・J・トーマスやロバータ・フラック、エルヴィス・プレスリーといった、大スターたちの原曲も勿論素敵ですが、バリー自身が少ししゃがれた独特の声で歌う、セルフカヴァーは文句無しに聴かせます。「この頃ちょっと疲れ気味だな」と感じた夜などに聴くと、じわっと心の中にしみてくるようです。
5月のBGM カーペンターズ「NOW&THEN」
今月は典型的なアメリカン・ポップスのアルバムをご紹介しましょう。カーペンターズは、往年の彼等のヒット曲が最近コマーシャルやドラマの主題歌などに頻繁に登場するので、若い方たちの間でもよく聴かれているようです。
彼等は、素晴らしいボーカルを聴かせてくれたカレンの死によってその幕を閉じるまで、数々のアルバムをリリースしてきましたが、中でもこの「NOW&THEN」は最高傑作の呼び声が高い作品です。タイトルからもお判りのように、60年代にヒットしたオールディーズと彼等の作品が見事に融合された、コンセプト・アルバムです。「イエスタデイ・ワンス・モア」の歌詞のとうり、小さい頃に好きだったナンバーがDJに乗って次々に歌われる後半は、アメリカのポップスのエッセンスが凝縮されていて、思わず一緒に口ずさんでしまいます。
そして、もう一つこのアルバムを特徴づけているのは、アレンジからプロデュースを含め総て彼等自身の手によって、仕上げられている点です。カバー曲もオリジナル曲と同じテイストを感じるのはその為でしょう。収められているすべてのナンバーに、カリフォルニア育ちの彼等らしいアレンジがなされています。アメリカン・ポップスの屈託のない明るさこそ、カーペンターズに最も相応しいキャラクターです。
4月のBGM ジョージ・マーティン「In My Life」
最近は日本でも音楽プロデューサーの存在が、注目を集めていますが、元来もっと関心がもたれて良い立場にある方達であろうとおもいます。その重要性を私達に、最も端的に示してくれたのが、ジョージ・マーティンでしょう。
ビートルズのメンバーが、いかに才能豊かであっても、いかにパフォーマンスに優れていたとしても、彼等だけでは決して今の名声は、得る事が難しかったでしょう。史上空前のスーパーバンドの出現には、二人の人物の大変重要な働きがどうしても必要でした。一人はマネージャーのブライアン・エプスタイン、そしてもう一人がジョージ・マーティンです。ジョージ・マーティンは、最初のシングル「ラブ・ミー・ドゥー」から一貫して、ビートルズのレコーディングのプロデュースを担当しました。特にビートルズがライブ活動を停止した1966年8月以降は、4人の命運は彼によって左右されたと言えると思います。
その彼が1998年に現役を退くにあたり、セルフ・プロデュースしたのが、このアルバムです。このアルバムに参加した、多彩な顔ぶれを見ただけで、いかに彼が優れたプロデューサーであり、魅力ある人物かが窺い知れます。今をときめくセリーヌ・ディオンなどポップスのミュージシャンのみならず、クラッシク界や演劇界からも世界的なトップスターが名を列ねています。その中にボニー・ピンクが招かれて いるのは、日本のミュージックレベルを評価されたようで、大いに歓迎すべきです。 そして圧巻は表題の「In My Life」の歌詞を、ショーン・コネリーが重厚かつ魅惑的 な声で朗読し終わるところでしょう。人生の大半を音楽と供に真摯に歩んできた、ジ ョージ・マーティンに相応しいエンディング.テーマだと思わずにはいられません。
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