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6月のバッカス 「ロゼ・ダンジュー」

 若いカップルの6月は、ジュン・ブライドです。うっとうしい梅雨の季節の、唯一の華やかな祭典です。 心浮き立つ二人には、降り続く雨も天からのライスシャワーの贈り物に見えていることでしょう。
 最近は日本でも、欧米の習慣に倣って6月に結婚式をすることが多くなりました。彼の地では、年間で最も爽やかなこの時季に結婚式が多いのは、自然の道理ですが、我が国では少し事情が違うようです。しかし、そんな理屈をお二人にしても野暮になるだけです。

 そんな二人を親しい友人達が囲む二次会で、ちょっとした演出効果が期待できるのが、今月ご紹介するロゼ・ダンジューです。フランスのロワール河流域にある、アンジューと言う美しい響きを持つ地方で造られる、すこし甘口のロゼワインです。 ロゼ・ド・アンジューをフランス風に撥音するとロゼ・ダンジューとなるわけです。いま幸福感でいっぱいの、花嫁のほほの色にも似た色彩と、バラに例えられる香りを持つこのワインほど、その場に相応しい小道具はないように思います。よく冷やしたほうが、より香りが際立ちますので、お酒が弱い方にも抵抗なく勧められ、座が盛り上がります。

  もちろん、このような特別の日ではなくても、普段の女性仲間の気軽な集まりなどにもうってつけのワインです。値段は醸造会社によって若干異なりますが、1,000円から1300円位ですので、あまり財布がいたむこともありません。お手軽でいて、おしゃれな雰囲気になること請け合いです。



5月のバッカス  「メドック」

 今月は赤ワインの定番中の定番、メドックのご紹介です。今さら説明は不要かと思いますが、世界的に知られたフランスの二大ワイン産地のひとつボルドー。そのボルドーの中でも、私達の耳に最も馴染みのある銘柄のひとつが、メドックでしょう。しかし、メドックという名前のワインがあるわけではありません。メドックはボルドー地方のひとつの地区の呼び名です。つまり、ボルドーが県であるとするなら、メドックは市や郡にあたる訳です。

 フランスのワインは古くから法律により、格付けや等級などが厳しく統制されています。高級ワインの代名詞として、AOCと呼ばれる原産地呼称統制ワインは、その産地のブドウを100%し、使用できる品種や最低アルコール度数が決められているなど品質を保つ為のさまざまな規定があります。さらにこまかく、地区別に等級が何段階にも別れて決められているものさえあり、メドック地区の第一級にランクされた極少数のワインには、ビンテージにもよりますが一本数万円のプライスが付けられています。

 そのようなプレミアム・ワインは、口に出来たとすればむしろその幸運を慶ぶべきですし、出来ないままであってもなんら嘆くに当たらない類いのものでしょう。それよりも、スタンダードな2000円前後のメドックを、気のおけないいつもの仲間とお気に入りの料理でワイワイやりながら空けた方が、より充実した時間が持てるというものです。長い伝統を持ち、高い技術を駆使して生み出されたメドックは、スタンダードであっても他の高級ワインに決してひけを採るものではありません。様々な産地や世界中のいろいろなワインを飲んだ人が、やがて帰ってくるのがこのようなワインではないでしょうか。


4月のバッカス 「コート・デュ・ローヌ」

 フランス・ワインと聞くと、すぐ思い当たるのはボルドーとブルゴーニュの二大産地でしょう。世界中にその名が知られている銘柄の多くが、この二つの地域から生まれていることからも、それは仕方のないことですが、フランスではほぼ全土でワインが造られています。

 今月はその中から、アルプスに源を発し地中海に注ぎ込むローヌ河沿岸で造られている「コート・デュ・ローヌ」をご紹介します。ここでは白ワインも造られますが、赤ワインの比率が高くおおよそ7割以上が赤ワインだといわれます。そのせいか「コート・デュ・ローヌ」で、まっ先にイメージとして浮かぶのは、濃い色調の赤ワインです。ワインが初めての方や、普段は白ワインばかりと言う方にはお勧めするのにためらいますが、ワインをよく口にされる方、とくに赤ワインを好まれる方には是非飲んでいただきたい一本です。

 ワインの専門家やソムリエと呼ばれる方たちも、家庭では私達とそれほど違いがない銘柄を飲んでいるはずです。そのような彼等がデイリーワインとして、愛飲している赤ワインの銘柄を挙げたとき、よく指名するのがこのワインです。その例からも玄人好みのワインのひとつかもしれませんが、一度好きになると病付きになってしまいます。深いルビー色とカシスや黒コショウにたとえられる香りが、個性を主張しています。決して洗練されたタイプのワインではありませんが、いつものワインとちょっと違ったものが飲みたい時、選んでみてほしい価値ある一本です。


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